2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧
◦満の潮古舟曳きゆく入り江かな (もちのしおこせんひきゆくいりえかな)
◦名月の月観る月は今日の月 (めいげつのつきみるつきはきょうのつき)
◦蓑虫の世の中揺れて昏にけり (みのむしのよのなかゆれてくれにけり)
◦仲秋や半月なれど芳しき (ちゅうしゅうやはんげつなれどかんばしき)
◦しみじみと梨剥く夜の演歌かな (しみじみとなしむくよるのえんかかな)
◦澱深き期間限定濁り酒 (おりふかききかんげんていにごりざけ)
◦曼珠沙華村への道をチンドン屋 (まんじゅしゃげむらへのみちをちんどんや)
◦秋彼岸いるか居ないか墓に問ふ (あきひがんいるかいないかはかにとう)
◦一人居の一つ灯のこる夜長かな (ひとりいのひとつひのこるよながかな)
◦木を伐って庭冷やかに人の来る (きをきってにわにひややかにひとのくる)
◦入道の目玉ひとつや鳥威 (にゅうどうのめだまひとつやとりおどし)
◦秋刀魚焼く裏の抜け道猫と行く (さんまやくうらのぬけみちねこといく)
◦芋の露てんでん逃ぐる嵐かな (いものつゆてんでんにぐるあらしかな)
◦絶滅の種となりすまし獺祭忌 (ぜつめつのしゅとなりすましだつさいき)
◦手さぐりに試しの藷の蔓を引く (てさぐりにためしのいものつるをひく)
◦秋あかね破船にのこる操舵室 (あきあかねはせんにのこるそうだしつ)
◦月見草小舟を隠す砂の山 (つきみそうおぶねをかくすすなのやま)
◦蟹の巣へ砂崩しゆく秋の風 (かにのすへすなくずしゆくあきのかぜ)
◦蓮の実の転べば揺れて止まるなり (はすのみのころべばゆれてとまるなり)
◦稲妻のわれを撃ち来ぬ寝べきころ (いなずまのわれをうちきぬねべきころ)
◦鵙高音「おおかみが出た」も三度まで (もずたかね「おおかみがでた」もさんどまで)
◦電気屋のレジに余りて秋団扇 (でんきやのレジにあまりてあきうちわ)
◦垂るる穂に右肩上がる案山子かな (たるるほにみぎかたあがるかかしかな)
◦秋燕あしたに矯める夕日うく (あきつばめあしたにためるゆうひうく)
◦今朝の戸は風が叩くよ花槿 (けさのとはかぜがたたくよはなむくげ)
◦葛の山やがて大樹の花ふぶき (くずのやまやがてたいじゅのはなふぶき)
◦逝く道や少し明るき草の花 (ゆくみちやすこしあかるきくさのはな)
◦あの花野この花野ゆく嬉しさよ (あのはなのこのはなのゆくうれしさよ) [
◦生きること急かされている虫しぐれ (いきることせかされているむししぐれ)
◦雨の日の二百十日の厄日かな (あめのひのにひゃくとおかのやくびかな)