2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧
◦少年の欲しと謂うなり秋のれん (しょうねんのほしというなりあきのれん)
◦秋櫻の山おりて来る二人かな (こすもすのやまおりてくるふたりかな)
◦秋暁の風に変わりて起こし来る (しゅうぎょうのかぜにかわりておこしくる)
◦秋の水集めて瀬戸の潮の道 (あきのみずあつめてせとのしおのみち)
◦里芋の葉の裏がえる初嵐 (さといものはのうらがえるはつあらし)
◦草むらの奏者よろしき宵の月 (くさむらのそうしゃよろしきよいのつき)
◦半月の芋の上行く秋意かな (はんげつのいものうえいくしゅういかな)
◦鬼やんま独り遊びの子を誘ふ (おにやんまひとりあそびのこをさそう)
◦処暑の来て少し褪せたる藍のれん (しょしょのきてすこしあせたるあいのれん)
◦白秋の楽屋ののれん上げて待つ (はくしゅうのがくやののれんあげてまつ)
◦抽出しの鍵もて秋の戸を開けむ (ひきだしのかぎもてあきのとをあけん)
◦秋あつし風が枕を持ってくる (あきあつしかぜがまくらをもってくる)
◦酔芙蓉朝は白飯白芙蓉 (すいふようあさはしろめししろふよう)
◦今朝の田の絵を描いている稲の花 (けさのたのえをかいているいねのはな)
◦かなかなや丘にのぼれば秋の航 (かなかなやおかにのぼればあきのこう)
◦今宵また炎に送らるる御霊かな (こよいまたひにおくらるるみたまかな)
◦麦飯と鯣を思ふ敗戦忌 (むぎめしとするめをおもうはいせんき)
◦新涼や夕べの雨の後の事 (しんりょうやゆうべのあめのあとのこと)
◦迎火のお隣さんに案内さる (むかえびのおとなりさんにあないさる)
◦霊祭り盥回しのお墓かな (たままつりたらいまわしのおはかかな)
◦膝打って脚の曲がらぬ夜の秋(ひざうってあしのまがらぬよるのあき)
◦汗臭き道路工夫の横通る (あせくさきどうろこうふのよことおる)
◦片陰に道路工夫の昼弁当 (かたかげにどうろこうふのひるべんとう)
◦立秋や瀬戸の潮見る指定席 (りっしゅうやせとのしおみるしていせき)
◦朝の蚊は網戸に寄りて帰巣待つ (あさのかはあみどによりてきそうまつ)
◦鳥獣の森に音する熱帯夜 (ちょうじゅうのもりにおとするねったいや)
◦日焼けして孫は一句の生け贄に (ひやけしてまごはいっくのいけにえに)
◦素振りする転校の子の夏休み (すぶりするてんこうのこのなつやすみ)
◦蜻蛉きて宿題の子を見てゆきぬ (とんんぼきてしゅくだいのこをみてゆきぬ)
◦網の子を計りて蝉の止まりけり (あみのこをはかりてせみのとまりけり)