2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

◦鉦己がいのちを打ちにけり (かねたたきおのがいのちをうちにけり)

秋の色

◦潮分けて釣りぶね三つ秋の色 (しおわけてつりぶねみっつあきのいろ)

蟋蟀

◦蟋蟀や二日徹夜の稿終う (こおろぎやふつかてつやのこうしまう)

新月

◦新月は部屋いっぱいに秋の虫 (しんげつはへやいっぱいにあきのむし)

爽やか

◦爽やかや体操の子のカード詰む (さわややにたいそうのこのカードつむ)

秋の蝶

◦秋の蝶てにもて余る広辞苑 (あきのちょうてにもてあまるこうじえん)

秋の空

◦広辞苑まくらにすれば秋の空 (こうじえんまくらにすればあきのそら)

秋の庭

◦芋粥の熱きをしばし秋の庭 (いもがゆのあつきをしばしあきのにわ)

すず虫

◦すず虫の声やみ夜雨ふりはじむ (すずむしのこえやみよさめづりはじむ)

草ひばり

◦本読めば早や月やりぬ草ひばり (ほんよめばはやつきやりぬくさひばり)

秋の口

◦海境の神の出入りや秋の口 (うなさかのかみのでいりやあきのくち)

線香花火

◦背の闇に線香花火の熾抱きぬ (せのやみにせんこうはなびのおきだきぬ)

夜学

◦農おえて窓辺に遅き夜学の灯 (のうおえてまどべにおそきやがくのひ)

夜習い

◦夜習ひの目がね外せば九時の時報 (よならいのめがねはずせばくじのかね)

初秋

◦初秋や清かに知恵の実りそむ (はつあきやさやかにちえのみのりそむ)

魂送り

◦餓鬼なれば米持たせやる魂送り (がきなればやこめもたせやるたまおくり) ◦辻つじの施餓鬼の棚に無縁仏 (つじつじのせがきのたなにむえんぶつ) ◦水棚の餓鬼去なしめて盆しまう (みずだなのがきいなしめてぼんしまう)

秋暑

◦行く雲に文意恃みし秋暑かな (ゆくくもにぶんいたのみししゅうしょかな)

盆の月

◦盆の月神代の穽の兎かな (ぼんのつきかみよのあなのうさぎかな) ◦早ばやと山の上明かし盆の月 (はやばやとやまのへあかしぼんのつき) ◦次の間の祓われてあり盆の月 (つぎのまのはらわれてありぼんのつき)

残暑

◦エアメール机の上の残暑かな (エアメールつくえのうえのざんしょかな)

秋立つ

◦波乗りの現わる空に秋立ちぬ (なみのりのあらわるそらにあきたちぬ)

◦蜩や原爆の日の絶滅種 (ひぐらしやげんばくのひのぜつめつしゅ) [

早秋

◦早秋や鯉つどいきて水の紋 (そうしゅうやこいつどいきてみずのもん)

立秋

◦立秋をいっとき置きて蝉の昼 (りっしゅうをいっときおきてせみのひる)

今朝の秋

◦駒おくりされて机に今朝の秋 (こまおくりされてつくえにけさのあき)

夜学

◦風の来て心催す夜学の灯 (かぜのきてこころもよおすやがくのひ)

花火

◦止まれない橋の上にて花火尽く (とまれないはしのうえにてはなびつく)

◦蜩や今朝の目覚めの胸涼し (ひぐらしやけさのめざめのむねすずし)

夏の子

◦夏の子や来年またねさりながら (なつのこやらいねんまたねさりながら)

◦夕立や備前の軒へ走り込む (ゆうだちやびぜんののきへはしりこむ)

甲虫

◦少年の指きりげんまん甲虫 (しょうねんのゆびきりげんまんかぶとむし)