◦土用波ゆめに敗れし子を去らす （どようなみゆめにやぶれしこをさらす）

◦帰省子の網持つ背なに蚊やり香 （きせいしのあみもつせなにかやりこう）

◦初蜩や仕残ししこと憂う （はつひぐらしやしのこししことうれう）

◦夕立や船頭が笠数えけり （ゆうだちやせんどうがかさかぞえけり）

◦端居して今日の夕日に真向かいぬ （はしいしてきょうのゆうひにまむかいぬ）

◦西口に孫受け取りし夏休み （にしぐちにまごうけとりしなつやすみ）

°空蝉の仮の縁の戸を抱きぬ （うつせみのかりのえにしのとをだきぬ）

◦若僧の世辞残しゆく盂蘭盆会 （わかそうのせじのこしゆくうらぼんえ）

◦ひゅるひゅると夢に墜ちるや遠花火 （ひゅるひゅるとゆめにおちるやとおはなび）

◦干物焼く土用太郎は時化にけり （ひものやくどようたろうはしけにけり）

◦田草取る背に残照を集めけり （たくさとるせにざんしょうをあつめけり）

◦ごきぶりの兵糧攻めに篭城す （ごきぶりのひょうろうぜめにろうじょうす）

◦今宵剣の舞ひ奏す蛙かな （こよいつるぎのまいそうすかえるかな）

◦枡席にお馴染みの顔夏場所 （ますせきにおなじみのかおなつばしょう）

◦かの世かし朝焼けの海に目覚めて （かのよかしあさやけのうみにめさめて）

◦鱧の尾の箱に余って糶られいる （はものおのはこにあまってせられいる）

◦プロローグの頁に死す雲母虫 （プロローグのぺーじにしすきららむし）

◦ががんぼの四肢揺る老いの助走かな （ががんぼのししゆるおいのじょそうかな）

◦蠍座の酔ひどれは鋏とられて （さそりざのよいどれははさみとられて） 夜、目が覚めてみると、部屋は窓からの涼風のせいで、横になり始めた時とは随分ちがった爽やかな冷気に包まれていました。昼間は雲の多い一日でしたが夜空は明るく満月に近い月が雲の間…

◦南山を雲湧き登るじょく暑かな （なんざんをくもわきのぼるじょくしょかな） [］

◦夕焼くる中のひとつにわれもあり （ゆうやくるなかのひとつにわれもあり）

◦凌霄に覗かれている朝の卓 （のうぜんにのぞかれているあさのたく） 梅雨明けして真夏日の陽射しが早朝から差し込んでいます。きのう下の海が大音響をたてているので何事かと畑の途中まで出て見てみました。変わった形の船が水煙を高く巻き揚げながら海水浴…

◦朝曇り椋の子がきて梅雨明けり （あさぐもりむくのこがきてつゆあけり） きのう梅雨が明けました。例年より１０日ほど早い梅雨明けのようです。 今年もまた毎日椋の家族が裏のフェンスにやって来るようになりました。フォバリングしながら凌霄花の密を吸っ…

◦誘蛾灯フェロモンという容かな （ゆうがとうフェロモンというかたちかな）

◦硯洗ひて待つ今宵星なくて （すずりあらいてまつこよいほしなくて） 七夕の笹かざりに願い事を書いたのは、人生のほんのいっときの間に過ぎ去ったように思います。 願い事はおろか、書くことも、人と話すこともめっきり少なくなりました。随分古くからの友…

◦足を引く葎も人を恋ひしける （あしをひくむぐらもひとをこいしける）

◦線路越へ海へ出る道夏蓬 （せんろこえうみへでるみちなつよもぎ）

◦田の闇に水番の灯と狐火と （たのやみにみずばんのひときつねびと） この俳句日記は先に写真があってそれに合わせた俳句を作る時と、俳句ができてそれに写真を探してきて完成する場合の両方があります。 今日のは「水番」という季語を使いたくてあれこれ悩…

◦母家から団子とどきし半夏生 （おもやからだんごとどきしはんげしょう）

◦夕日ゆらゆらぶらんこは蟻の列 （ゆうひゆらゆらぶらんこはありのれつ）