〇湯豆腐を掬ってもらふ崩れぬ仲
(ゆどうふをすくってもらうくずれぬなか)
〇湯豆腐の湯気の此方に並ぶかな 河童三子
〇湯豆腐や死後を認めぬ人と食ぶ 々
〇湯豆腐や雨音きえて雪になる 々
婆ごころ
〈此の一句〉
〇湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 久保田万太郎(1889━1963)
湯豆腐の句では一番に万太郎のこの句を思い出す 湯豆腐の白さや脆うさで人生の儚さを詠っているのだ 私生活に於いても妻が自死し 後年息子もまた自死している この世の闇を抱えながら 己のいのちをも見据えていたのかもしれない。(万太郎の最後は料亭で食物を喉に詰めて窒息死している)
実は俳句を作りはじめて 初めて句集を手にしたのは 久保田万太郎なのだ ふらんす堂「万太郎の一日一句」小沢實著の一冊だった どんなに努力しても 永遠に辿り着かない彼岸か。(ブルばあちゃん)