彼岸

          〇子規の言ふ彼岸の寒さ今につぐ

             (しきのいうひがんのさむさいまにつぐ)

           

           〇お彼岸や餡子ときな粉ツーショット   河童産雇

           〇声高に故人と酌むは治聾酒か     々

           〇春彼岸傘さして寿司買ひに      々

       

 

 

        

 

鳥帰る

          〇鳥帰るニアミスもなき空の旅

             (とりかえるニアミスもなきそらのたび)

          

            〇鳥帰るヘラにて返す羽餃子   河童三子

            〇天空に神の導き鳥帰る     々

            〇鳥帰る空に仏もをわすなり   々

 

 

茎立

          〇茎立やもの余りたる世もすみぬ

             (くきだちやものあまりたるよもすみぬ)

         

           〇茎立の刻まれて地の塩となる   河童三子

           〇残されて花を咲かせて茎立ぬ   々

           〇茎立の大見得きって幕を引く   々

 

沈丁花

           〇沈丁の雨滴に潤む午後の庭

             (ちんちょうのうてきにうるむごごのにわ)

           

            〇行く人を振り返へらせて沈丁花    河童三子

            〇沈丁の香に呼び止められし夕明り   々

            〇そよ風にふと匂ひ立つ沈丁花     々

 

            

山椒の芽

          〇山椒の芽に早実の芽見えてある     

             (さんしょうのめにはやみのめみえてある)

          

           〇山椒の芽のせて寿司できあがる     河童三子

           〇和え物に山椒の芽を待ってゐる     々

           〇山椒の芽やピリ辛の恩師かな      々

 

 

種袋

            〇嬉しそうなり店頭の種袋

             (うれしそうなりてんとうのたねぶくろ)

           

           〇抽斗は種(しゅ)のるつぼにて春の種    河童三子

           〇その中に怪獣生まる種袋         々

           〇種袋蓮やどんぐりなどもあって      々

          

春暁

             〇春暁の人生ゲーム夢の中

            (しゅんぎょうのじんせいゲームゆめのなか)

           

            〇魔の闇を斬って春暁現るる    河童三子

            〇山の春暁珈琲の湯を沸かす    々

            〇春暁や工場の街煙立つ      々