竹落葉

             〇幽しや祇王が径の竹落葉

                (かそけしやぎおうがみちのたけおちば)

              

            〇化野を振り返るなと竹落葉     河童三子

            〇下駄で行く嵯峨野の径や竹落葉   々

            〇竹落葉まだ喪の明けぬ尼僧庵    々

 

桜桃

          〇がん検診終えて桜桃買ひにけり

             (がんけんしんおえておうとうかいにけり)

            

           〇東北に佐藤名多しさくらんぼ     河童三子

           〇今年また佐藤錦さくらんぼ     々

           〇さくらんぼ二人で分ける奇数かな   々

 

郭公

           〇郭公や山崎越えで京に入る

             (かっこうややまざきごえできょうにいる)

                 

            〇郭公が修学院の農愛でる     河童三子

            〇都にて鳴く郭公の雅かな     々

            〇聞きかえす孫の返事や郭公鳴く  々

 

石楠花

         〇ヒマラヤに向きて石楠花赤きかな

            (ヒマラヤにむきてしゃくなげあかきかな)

           

            〇少年のくれし石楠花耳に挿す   河童三子

            〇ネパールの仏に捧ぐ白石楠花   々

            〇石楠花や曼荼羅大日如来    々

 

葵祭

                      〇北の祭下賀茂を出て上賀茂へ

             (きたのまつりしもがもをでてかみがもへ)

           

            〇花車お練りの牛の尿(いばり)かな  河童三子

            〇賀茂祭斎王代の葵髪        々

            〇双葉葵舎人も挿すや祭草      々

 

聖五月

           〇聖五月兵士の妻ら耐える街

             (せいごがつへいしのつまらたえるまち)

           

             〇野に集う乙女らの声聖五月   河童三子

             〇教皇と兵士の妻ら聖五月    々

             〇衛兵の見目麗しき聖五月    々

 

花卯木

           〇花卯木焦がれて遠き山の径

              (はなうつぎこがれてとおきやまのみち)

            

            〇卯の花を手折りて真白穢しをり    河童三子

            〇窓に寄り卯の花腐し見る一日     々

            〇墨擦るや卯の花腐し窓を打つ     々