四旬節

         ○バーべキューの灰もて塗るや四旬節

           (バーベキューのはいでなべこするしじゅんせつ)

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             ○ウイルスに籠るや灰の水曜日   秋甫

             ○黒猫が子を産む灰の水曜日   々

             ○仮面買えば隣も同じカーニバル  々

 

彼岸入り

         ○彼岸入りロッカーの位牌出されをり

             (ひがんいりロッカーのいはいだされをり)

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            ○抜けかけの前歯引っぱる彼岸餅    秋甫

            ○落ちた歯を小箱に入れて彼岸晴る   々

            ○何時か乗る漕ぎ手櫓もなき彼岸舟   々

 

春霞

           ○春霞こころ迷へば深かりし

             (はるがすみこころまよえばふかかりし)

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             ○霞引く桜の園のラストシーン    秋甫

             ○老ひし目にしっとりとある霞越し  々

             ○洛北の山裾包む春霞        々

 

霾天

           ○霾天や駱駝に日銭稼がせて

             (ばいてんやらくだにひぜにかせがせて)

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          ○霾(つちふ)るや日々埋め戻すスフィンクス  秋甫

          ○薶曇(よなぐもり)駱駝乗る娘の付け睫毛   々

          ○黄塵の長城を越え来たりけり         々

 

鳥曇

           ○癈目の見上げる空の鳥曇

             (しいれめのみあげるそらのとりぐもり)

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             ○遠山に雪見る今朝の鳥曇     秋甫

             ○孫の部屋空くことなきや鳥曇   々

             ○鳥曇並びて歩む家鴨(あひる)かな 々

 

春雷

          ○三月雷深夜ラジオを消して去る

             (さんがつらいしんやらじおをけしてさる)

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            ○春雷に明けて朝(あした)の風冷えに   秋甫

            ○春の雷去ってパソコン立ち上がらず   々

            ○春雷の一鳴り覚めよ眠れる子      々

草餅

          ○草餅の彩より香り買いにけり

             (くさもちのいろよりかおりかいにけり)

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            ○石手寺におやきと言ひて蓬餅   秋甫

            ○草餅を届けてくれた婆々は亡く  々

            ○草餅や昔の道は一つきり     々