秋茄子

          ○秋茄子の剪り戻されて寂しき実

             (あきなすのきりもどされてさびしきみ)

            f:id:eeyannka:20190914124403j:plain

             ○秋茄子は身欠き鰊と煮びたしに   秋甫

             ○濃紺に糠床染める秋茄子      々

             ○糠床に母の差し込む秋茄子     々

 

蟋蟀

         ○蟋蟀にコロラトゥーラの魔笛かな

            (こおろぎにコロラトゥーラのまてきかな)

        f:id:eeyannka:20190913004010j:plain

            ○閻魔蟋蟀厠の鬼門にて鳴ける   秋甫

            ○蟋蟀の課題いただき篤と聞く   々

            ○蟋蟀や漫録に髭のことなど    々

 

放生会

           ○うなぎ屋の鰻三匹放生会

            (うなぎやのうなぎさんびきほうじょうえ)

            f:id:eeyannka:20190912200321j:plain

             ○蛍など一万二千の放生会     秋甫

             ○放生会水面に鳥の来て待てる   々

             ○セレモニーの鳩放たれる放生会  々 

 

秋暑し

          ○秋暑しグランドに笛鳴りつづく

             (あきあつしグランドにふえなりつづく)

          f:id:eeyannka:20190905091441j:plain

            ○箒草赤くなる手も秋旱       秋甫

            ○秋旱とて種播かざるは無信仰    々

            ○漁師家の迷路の先の秋暑かな    々



 

蟷螂

          ○カマキリの腰の括れや肉食系

            (カマキリのこしのくびれやにくしょくけい)

          f:id:eeyannka:20190910091419j:plain

            ○いぼむしり鼻にできたる兄の疣   秋甫

            ○頼むならその斧仕舞へ疣むしり   々

            ○古蟷螂猜疑の心色に出し      々

 

蓼の花

          ○露濡るる径来て果の蓼の花

             (つゆぬるるみちきてはてのたでのはな)

         f:id:eeyannka:20190909062932j:plain

            ○犬蓼のふし節に花涼しとも    秋甫

            ○蓼酢とは淡緑なる秋の池     々

            ○大蓼の穂のゆさゆさと大女将   々

 

黍嵐

          ○すずめらの流されてゐる黍嵐 

             (すずめらのながされているきびあらし)

          f:id:eeyannka:20190908063001j:plain

             ○黍嵐果つれば哀れ古戦場   秋甫

             ○芋嵐子をみつけては見失う  々

             ○芋の葉の傘にもならぬ芋嵐  々